No:26 しとしと。
僕らの暮らす地域は朝霧の濃い土地です。
朝方は空気がしっとりとしていて、しとしと。と霧雨が降ることがよくあります。
窓越しによく眼を凝らすと細かな雨粒が見える
天然のミストに覆われている様は実は霧の外からは見ることは出来ません。
数歩先も見えない濃い霧の中で、古来からひとはそこに映る自分を見つけ
物の怪の類と出会ってきました。
黄昏時のような世界の境界が曖昧になる時間を、この世とあの世の狭間が曖昧になる時間だと感じた昔の人の気持ちが濃霧の中でよくわかる気がします。
まとわりつく水分は人と自然の輪郭を曖昧にします。
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