薪を運ぶ
コンクリートの路面の雪は溶けてなくなり、土の駐車場にはうっすらと雪が残っていました。
朝一番に、今日焚く薪を薪棚まで取りにいきます。田舎だからパジャマのまま、時には肌着のまま。肌着なのに、手を怪我しないようにやたらゴツいグローブだけをつけた姿は、穏やかな雪景色とは似つかわしくない、さぞ不恰好な姿なことでしょう。
おおきいの。
ちいさいの。
ながいの。
ほそいの。
よく乾いた薪をじっと見つめ、選んだものを手に取ると、苦労して割った時の記憶や、棚に組んだ時の記憶が蘇ります。「大体コンテナ2杯分」僕らは毎日燃やして生きてます。
焚き付けの煙が、煙突から流れてきて目に染みて、息を深く吸い込んで案の定ゴホゴホと咽せる。はぁ。とため息をついて見上げた空は、昨日見た東京の空と同じはずなのに、随分と複雑な色合いだと感じた。
変わらない日常を愛おしく、少し煩わしく思えた刹那、僕はやっと、ここに帰ってきた実感を得ることが出来た。
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