No:25 サタッ、サタッ。
奥の部屋で休んでると、障子越しにサタッ、サタッ…と音がする。
眼を凝らすと大きなガガンボが障子にぶつかっている。
きっとこの音は江戸の昔から変わらないのではないかと想いを馳せる。
世界がもっと暗かった時代には、いまよりもおおくの虫が人家に集まったことだろう。
この気配と余韻が人間の暮らしの本来の姿なのではないかと思う。
あらゆるものから隔離された安全な家の中で暮らすなんて、なんかすごく不気味だ。
循環のサイクルから離れて人は果て無き宇宙の深遠を目指す、きっとそれは孤独な旅になるだろう。
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