No.01 キン…。


深夜にお店で作業していると

澄んだ音が聞こえることがある。

なんの音かなと思って耳を澄ます…

すると、かすかに音が聴こえる。

それは本当に静かな深夜にしか聴こえないほど小さな音で

しばらくその正体がわからなかったのだけど

窯元を尋ねた際に焼きあがったばかりの器たちが同じ音を出していることに気がついた。

器の表面の硝子質の釉薬に細かなひびがはいることを[貫入]と呼ぶ

この貫入が入る瞬間に器はちいさく音をたてる。

焼きあがって時間が経った器でも音をたてることがある。

日中は音にまぎれて気がつかないこの音が聞こえると

人知れず話す器たちの話し声を聞いたようで

ほんのすこし嬉しい気持ちになる。





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