「さんち」その二。

後半は屋根裏の書店のことと、やわい屋を開いた経緯のお話です。

あの頃よりははるかに地元のことを知り、愛情も生まれましたが、それだけでこの土地が最高であるとは言えません。

むしろ、最近はどこであっても住めば都なのではないかと思っています。

どこかと比べて、住みやすい・景色がきれい・空気がきれいなんてことは、もう言わなくていいように思います。

僕にとって唯一無二の故郷である飛騨はかけがえのない場所です。

だけれどそれは僕の主観の世界です。

そして、それはそれでいいように思うのです。

それは妻を愛していることを誰かと競っても無意味なのと同じことで比べて優越感を感じるような起業や移住であればやめたほうがいいと思います。

それでは、現代的な価値観や都会的な生き方となんら変わりありません。

大切なのは、そこでなにがしたいのかという明確な理由です。

誰かの為をおもうのなら、まずは一番大切な自分自身を救ってあげなければいけないとおもいます。

あなたがやりたいことは本当にそこで今できないことですか?
あなたがやりたいことは本当にそこにいかないと出来ないことですか?
あなたが嫌っているそこでの暮らしは本当につまらないのですか?

この数年で分かったのは、地元がいかに素晴らしいかとうことではなく、本当は自分の心次第でどんな境遇でもどんな環境でも自分の描く人生を送ることが出来るという、ちいさなちいさな確信でした。

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